前編・中編に続き、「京丹後の酒蔵をめぐる旅」いよいよ最後の回となります。
後編は、宮津・丹後由良の「ハクレイ酒造」へ。
京丹後から伊根へと向かう酒蔵めぐりの旅に、もう一つどうしても加えたいのが、宮津市・丹後由良にある天保3年(1832年)創業の老舗「ハクレイ酒造」です。
目の前に広がる日本海と、背後にそびえる「丹後富士(由良ヶ岳)」に抱かれた、歴史ある酒蔵の魅力とおすすめの銘柄をご紹介します。
≪目次≫
歴史あるハクレイ酒造の「仕込み水」

ハクレイ酒造は、天保3年(1832年)創業。
江戸時代から続く歴史ある酒蔵で、目の前には日本海、背後には「丹後富士」と呼ばれる由良ヶ岳がそびえています。海と山に囲まれた丹後由良の自然が、そのまま酒造りの舞台になっています。
そんなハクレイ酒造の酒造りで、特に注目したいのが、仕込み水です。由良ヶ岳の中腹にある不動の滝から流れ出る湧水を「不動山水」と名付け、酒造りに使用しています。
この水は超軟水でありながら、甘口から辛口までさまざまな味わいの日本酒を造ることができる、ハクレイ酒造ならではの大切な水なのだそうです。
丹後を代表する「酒呑童子」

ハクレイ酒造を代表する銘柄のひとつが、「酒呑童子」です。名前の由来は、丹後地方に伝わる大江山の鬼伝説。大江山連峰の湧き清水で醸されることから名付けられた、丹後らしさを感じる日本酒です。
すっきりとした飲み口とキレの良さが特徴で、料理と合わせて楽しみたいお酒。ハクレイ酒造では「丹後の地酒」として、食事によく合う味わいを大切にしています。
海の幸が豊富な丹後。新鮮なお刺身や焼き魚、煮魚などと一緒に味わえば、丹後の食と酒の相性をじっくり楽しめそうです。
「白嶺」に込められた丹後の風景

もう一つの代表銘柄が、酒蔵の名前にもつながっている「白嶺(はくれい)」。
冬の朝、丹後富士・由良ヶ岳の頂に真っ白な雪が積もる美しい姿から、「白嶺」と名付けられたといわれています。
一杯の日本酒に、丹後の山の名前がついている。そう思って飲んでみると、ただのお酒ではなく、由良の風景まで一緒に味わっているような気持ちになります。
酒蔵を見学して、もっと深く味わう
ハクレイ酒造では、江戸時代に建てられた「天保蔵」を案内してもらえる酒蔵見学も行っています。酒造りの歴史や銘柄の由来、酒造りについて説明を聞きながら、実際の酒蔵の雰囲気を感じることができます。
さらに、店舗では日本酒の試飲だけでなく、全国でも珍しい仕込み水「不動山水」の試飲も楽しめます。
「この水から、こんなお酒が生まれるんだ」――そう思いながら飲む一杯は、普段の日本酒とはまた違った味わいに感じられそうです。
なお、酒蔵見学は事前の予約が必要ですが、店舗でのお酒や仕込み水の試飲は気軽に楽しめるとのこと。丹後を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみたい場所です。
丹後の恵みを五感で味わう旅を終えて
全3回にわたって丹後エリアのさまざまな酒蔵を巡ってきましたが、それぞれの場所を訪ねてみると、同じ丹後の日本酒でありながら、その土地の風景や水、歴史によって全く異なる個性と輝きを放っていることに気づかされます。
田んぼを眺めながら走る道、山から流れる清らかな水、日本海から吹き抜ける心地よい風、そして、その豊かな風土が育んだ美味しい食材とお酒。丹後はまさに自然の恵みと米づくりに適した環境に恵まれた地域であり、これらすべてを五感で体感できることこそが、丹後の酒蔵めぐりの本当の楽しさなのかもしれません。
旅の途中で出会ったお気に入りの一本を自宅に持ち帰り、ゆっくりとグラスを傾けながら、出会った景色を思い出す――。そんな「お酒と旅の想い出」を作ってみるのも素敵ですね。
海、山、田んぼ、そして地酒。次の京丹後旅行は、あなたも特別な一杯に出会う「酒蔵めぐり」から始めてみませんか?
※酒蔵の営業時間・定休日・試飲の可否などは変更になる場合があります。訪問前に各酒蔵へ確認することをおすすめします。



